不動産売却専門家の草留です。
昨年不動産を売却された方、確定申告はもうお済でしょうか。申告期限は3月17日(月)までとなります。
今回は、不動産売却時の「譲渡損失の損益通算・繰り越し控除の特例」について。
不動産を売却した際、売却価格が取得費や譲渡費用を下回ると「譲渡損失」が発生します。この譲渡損失について、一定の条件を満たす場合には、所得税の「損益通算」や「繰り越し控除」を利用することで税負担を軽減することが可能となります。その特例について詳しく解説します。
譲渡損失の「損益通算」とは?

譲渡損失は通常、他の所得と相殺することはできません。しかし、一定の条件を満たす場合には、給与所得や事業所得などと損益通算が可能になります。
適用条件
- 売却する不動産が「居住用財産」(マイホーム)であること
- ローンが残っている場合、売却によって完済できないこと
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以上であること
「繰り越し控除」とは?

損益通算をしても控除しきれない損失がある場合、その損失は最長で4年間にわたり繰り越し控除が可能です。これにより、翌年以降の所得税を軽減することができます。
【繰り越し控除の適用条件】
- 損益通算と同様に、売却する不動産が「居住用財産」であること
- 確定申告を継続して行うこと
- 翌年以降も所得が発生すること
- 売却したマイホームの所有期間が5年以上であること
- 売却したマイホームに住宅ローンの残債があること
例えば、2025年に譲渡損失が発生し、その年の所得と相殺しても控除しきれない場合、2026年以降の所得と相殺することができます。
3. マイホームを買い替えた場合とそうでない場合の違い

(1)マイホームを買い替えた場合
マイホームを売却した後、新たなマイホームを購入した場合は、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰り越し控除の特例」が適用されます。
【適用条件】
- 売却したマイホームの所有期間が5年以上であること
- 新たに取得するマイホームが売却した年の前年または翌年に購入されていること
- 売却したマイホームのローンが残っており、売却後もローン残高があること
- 買い替え後のマイホームの住宅ローンの返済期間が10年以上であること(現金購入の場合は適用不可)
この場合、譲渡損失をその年の所得と損益通算できるほか、控除しきれない場合は最長4年間の繰り越し控除が可能です。
(2)マイホームの買い替えではない場合
マイホームを売却したものの、新たな住宅を購入しない場合でも、「居住用財産の譲渡損失の損益通算・繰り越し控除の特例」が適用される可能性があります。
【適用条件】
- 売却したマイホームの所有期間が5年以上であること
- 売却したマイホームに住宅ローンの残債があること
買い替えをしない場合でも、売却した年の所得と相殺でき、余った損失は4年間繰り越し控除が可能です。
4. 実際に特例を活用する流れ
- 売却前に条件を確認する
- 所有期間やローン残高などをチェック
- 不動産売却の手続きを進める
- 仲介業者と契約し、売却活動を開始
- 確定申告を行う
- 必要書類(売買契約書、譲渡損失計算書、源泉徴収票など)を準備し、確定申告を実施
- 翌年以降も確定申告を継続する(繰り越し控除の場合)
- 控除しきれなかった場合は翌年以降の申告を忘れずに
今回の特例は、売って損した場合に活用できる特例になり、損をしている事に変わりはありません。不動産は早く、高く売る事が大事になります。その為に正確な査定が大事になります。ご自身の不動産がいくらで売れるのか知りたい方、是非ご相談ください。皆様のご支援を全力でサポート致します!